親も兄弟姉妹もが 笑顔で介護生活が送れるように親が75歳になるのを一つの機会として、話し合いましょう。
「まだ早い 大丈夫と思っている内に、認知症かも?」
認知症が疑われると金融機関の変更、手続きが凍結されることがあります。
急な入院、引落しの不足、高齢者施設の入居に必要な資金など、兄弟姉妹間で保証人となり、一時的(相続するまで)に肩代りの必要性が出てきます。
それを避けるため、親の判断能力、金融機関に自力で行ける体力があるうちに 認知症になった後も「親の資産を親のために使う」話し合いをしましょう。
「親の財産管理&預金引き出し」は次のような方法があります
A.一般的に知られているのが成年後見人。
親の身体機能の大幅な低下した場合→任意代理人(書類の提出が必要)
↓(任意代理ができるのは、親に判断能力がある期間のみ)
親の判断能力低下→成年後見制度(任意、法定後見)
(親の判断能力の低下で 任意代理人の権限の裏付けとなる 本人の意思が確認できなくなる。その場合 成年後見制度を利用する)
→任意後見制度 判断能力があるうちに申請する
任意代理人から引続き後見人になる場合は 任意後見契約を結び任意後見制度の任意後見人になっておく必要がある。
→法定後見制度 判断能力がほぼない場合、家庭裁判所が成年後見人を選ぶ。
弁護士、司法書士ら専門家(毎月の報酬が必要)が選ばれることが多い
↓(後見人は財産管理を目的とする。対応が悪くても解任はできない。)
親の死亡で相続開始
B.信託銀行に預け入れする。
一部の信託銀行で、「代理出金機能付信託」が2019年から
発売されています。
- 親の判断能力がある時に申込む(以下、詳細は信託銀行に要確認)
- 信託金額による設定時と 毎月一定額の信託報酬が発生する
- 認知症になってしまったら指定された代理人の依頼により金融機関に送金
- 登録された人に対し 出金時ごとに連絡がいく
- 親の死亡で残金は相続資産として対応
C.親の定期預金を解約し、「預り金」として新たに代理人名義の口座を作り入金する
- 親が判断能力があり、銀行まで行け、書類を自分で記入・捺印ができる状態であることが条件。
- 親と兄弟姉妹の間で代理人を決め、「預り金覚書を作成」する
- 銀行に「覚書」を持参し、代理人とともに親が手続きをする (取引銀行が対応してくれるかを前もって確認が必要)
- 贈与とみなされないためにも、「預り金」であることを明確化しておく
- 出金状況を兄弟姉妹に提示できるように、通帳に記帳された内容の領収書の保管
- 親の死亡で残金は相続資産とみなされます
かかる費用の少ない順 C→B→A
代理人に手間がかからない順 B→A→C
お金の出しやすい順 C→B→A
費用がかからなく、お金をこまめに出しやすいのは C.預かり金
兄弟姉妹間でトラブルになりづらいのは B.信託銀行
金融資産があまり多くない場合は、「預り金」の方法をおすすめします。兄弟姉妹間で、仲が良く話し合いができ、相互の信頼があることが条件。
代理人は 出金の状況を正確に記載していないと 使い込みをしているのではないかと家族の信頼を失うので、注意をしてください。
親と兄弟姉妹、どちらに先に話した方がよいのか?
兄弟姉妹から どんな話をどのように話すかを話し合うことを勧めます。
親に先に話し、まわりまわって兄弟姉妹の耳に入ると、しこりを残してしまいます。
認知症になった後も「親の資産を親のために使う」にはどの方法が良いか 親の体力も認知機能もある段階で、親にどう話すかを兄弟姉妹で話し合ってください。
親に話を切り出す「きっかけ」に困る場合は
厚生労働省の「人生会議」について話し合いたいというのも、一つの方法です。
吉本興業に依頼したポスターが 批判を受けて話題になった「人生会議」。
「人生の終わりまで、あなたは、どのように、過ごしたいですか?」「これからの医療・ケアについて話し合い、共有しましょう」と書いてあります。
資産管理と共通する視点なので、平行してスムーズに資産管理の話に移行できそうです。
急な病気や骨折で入院した時の支払いはどうする?
生活に不自由を感じたときはどうしたい?
親に、手始めに何をやってもらっておいた方がいいの?
年金が振り込まれる金融機関と生活費(電気、ガス、水道、通信費、税金 他)の引落し金融機関を同一にしてもらう。
将来、足が不自由になったり、長期入院や施設に入った場合にいくつもの銀行を 代理人が毎月駆けまわったり、分けて送金する手間をなくすためです。
親と同行してあげると銀行も助かりますし、親も内心、望んでいると思われます。
「確定申告の計算を手伝おうか?」と、軽く言ってみるのも良いかも。「いらないよ」と言われたら すぐ引き下がり話題を変えましょう。
「こじらせない」「かたくなにさせない」ことが一番大事と心がけましょう。
このコーナーを書いた人
保坂桂子
さとやまFPラボ代表
ファイナンシャルプランナー
日本FP協会会員AFP認定者